【神道とは何か?】その思想や、仏教との違いについて

今回は、「神道(しんとう)」について書いていきます。
日本文化を理解するためには、絶対に知らなければならない信仰です。

また、日本には仏教も共存しているので、日本の宗教はわかりづらいと思います。
なので、今回は神道の思想や考えの他、仏教との違いについてまとめました。

「神道(しんとう)」とは?

そもそも、「神道(しんとう)」とは何でしょうか?
神社に関連するものと何となく捉えている方は多いと思いますが、「何か?」と聞かれると答えが難しいのではないでしょうか。

「神道(しんとう)」とは、日本固有の民族宗教です。
日本全国に建つ神社は、神道の神々を祀る社(やしろ)、つまり「神様の家」と捉えられます。

宗教というと敬遠する方も出てくるかもしれませんが、日本は神道の思想とともに現代まで続いていて、その考え方は日本人の民族性にも色濃く染み付いていることは否定できません。
日本国憲法には信教の自由が謳われているので、神道は現代の日本の国教(国家が保護する宗教)ではないとされていますが、日本の文化や歴史の根本にある思想と理解して間違いがないでしょう。

神道の思想・特徴

神道が宗教であるとはいっても、キリスト教や仏教とはかなり異なった特徴が数多くあります。
その特徴を紹介します。

まず、神道とは「大自然崇拝教」と呼ぶことができます。
「八百万(やおよろず)の神々」という言葉は日本人なら、誰もが聞いたことがあると思います。
これは、自然物それぞれに神が宿っていて、八百万(実際の数字ではなく、「たくさん」という意味です)ほどもいらっしゃるという考え方ですね。

それはまさに神道の考え方そのものを表していて、神道は自然のすべてに神が宿るという考え方をしています。
つまり、自然そのものが崇拝対象です。

そのためか、他の宗教とは異なった特徴があります。
①教祖がいない
②教義・戒律が存在しない
③偶像がない
④組織がない
などがあります。

順番に見ていきます。

①教祖がいない

キリスト教はイエス、仏教はブッダ、イスラーム教はムハンマドがそれぞれ教えを与えたとされていますが、神道にはそのような人物がいません。
教祖に当たる人物がいないのは、自然そのものが崇拝対象であるため、「大自然が教祖だから」と言えるかもしれません。
神道は、かつて日本の地に生きた人々が、名前も残さずに暮らしの中で育んでいったものと言えます。

②教義・戒律が存在しない

これは驚くべきことでしょう。
神道には、教義も聖典も存在しないし、守らなければならない戒律・規律も存在しません。
『古事記』『日本書紀』は教義書でも聖典でもありませんし、それぞれの神道思想家や神社で教えはあっても、神道全体の教えというのは存在しないんです。
教義がない以上、もちろん戒律や規律も存在しません。
これらがない理由としては、人間の記す言葉などは大自然に比べれば小さなものでしかない、という神道の考え方が貫かれたからだと思われます。

③偶像がない

神道には、神様をかたどる偶像がありません。
他にも偶像を持たないとされている宗教は多く存在しますが、神道が偶像を持たない理由としては「形や身体はあくまで仮のものである」という考え方に基づいています。
神道で拝む対象としてはご神体や神社の拝殿などがありますが、それは形代(かたしろ)などの仮のもので良いとされています。
元々は神社という建物自体も存在せず、神様は実際には人間界ではない高い場所に住んでいて、神社というのは仮の住まいか、地上の神霊が留まる場所とされています。

④組織がない

神道に関して、国家や社会規模の組織というものは存在していません。
明治時代になって国が神道を管理するようになり、敗戦後に国家神道がなくなったのちは神社連合が残ってもそれに属していない神社も多いのです。

以上の4つのことから、神道とは、他の宗教が持っている多くのものが「ほとんどない」宗教だとわかります。

「ほとんどない」神道

宗教としてあるべきものが「ほとんどない」神道は、ゆえに宗教ではないと言われることもあります。
しかし、そこには「ないものばかり」の神道だからこそ、浮かび上がってくる教えがあります。
それは、「ひたむきな大自然への畏敬と感謝の表れ」、でしょう。

大自然に比べて、人間などはちっぽけな存在でしかない。
古代日本人は、日本の豊かな自然に神性を感じ、神道というものを作り上げていきました。
僕はその、人間存在の謙虚な位置付け、信仰についての考えが、現代にも残る日本人らしさに見ることができると思えてなりません。
僕はそんな神道の謙虚な姿勢が大好きです。

ただ、「ほとんどない」宗教であるがために、神道というものが捉えにくくなっていたり、ほとんどの日本人が無宗教だ答えるという変わった民族になっていったのかもしれません。

神道と仏教の違いは?

よく、神道と仏教とを混合している方がいらっしゃいます。
神社とお寺が日本の歴史的建造物の中心になっているため、区別がつかないというのもわからなくはありません。

その違いをわかりやすく一言でいうと、神道は神様を祀り、仏教は仏様の教えです。
もっと雑な言い方をすると、「神道=神様」「仏教=仏様」でもいいかもしれません。

神道は日本固有の宗教であり、仏教は外国から伝来したものです。
つまり、神道と仏教は別ものであって、「神道の神様の家である神社」と「仏教の施設であるお寺」も全然別ものなのです。

ただし、元々神社という建築物も仏教の寺院に影響されたものであり、神仏習合として神様と仏様が同じとされた歴史などもあるので、その事情はかなり複雑ではあります。

日本を理解するには、神道を知らなければならない

今回は、「神道とは何か?」をまとめました。
いかがだったでしょうか。
この記事を読めば、神道という信仰は、日本を理解するために必ず知らなければならないものだとわかります。

もっとも、宗教の思想はかなり宗派によって異なるところがありますので、今回の記事の内容がすべてではありません。

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